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高知県四万十市街を通る幹線道路より、少し脇に入った交差点に位置する”scala”の家。
クライアントの人柄に沿うような、ゆったりとした家を計画したいと思い設計を開始しました。
ただ周囲には住宅や小規模な店舗が建つ為、開放過ぎる家はむしろ双方がストレスとなってしまいます。
そこで先ず建物の構成を平屋建てとする提案をさせていただきました。
開口部は歩道を歩く人からは内側が見えない高さに設定し、内部からは隣家の借景を感じられる位置へ配置しました。
所要室もほぼまとまった折、ここでクライアントの奥様よりこの家の骨格を決める重要な一言がありました。
”私は階段が好きです” ・・・とても印象的な言葉でした。
詳しくお話を伺うと、それは平屋が嫌だとか、2階建てに住みたいといった話ではなく、建築の”階段”という存在に惹かれるというものでした。
それはオブジェの様でもあり、また行為としても存在するものでもあります。
そこでこの両義性を成立させる階段を思案し、LDKの中心に家族が集まり腰掛けるホールのような大階段を提案させて頂きました。
読書をしたり、映画を観たり、子供達がアスレチックの様に使う大階段の先には、ロフト収納とバルコニーを設けました。
またご主人からの”籠れる空間”というご要望を満たした階段下の畳コーナーは、同じ家の中心に居ながらも、その重心の違いによる家の見え方を改めて感じさせてくれる場所となりました。
”学生時代から設計を依頼したいと思っていました”との嬉しいお言葉から始めさせて頂いた家づくり。
この大階段が、ご家族のとっておきの場所となって頂ければと思います。
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